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2011年2月26日土曜日

マリー・アントワネットと音楽①

私が執筆した紀行文は
すでに何度も申し上げている通り
マリー・アントワネットが
フランスへ輿入れするところから始まるのですが
今日のブログでは
オーストリアのウィーン宮廷時代のマリー・アントワネットについて
とりわけ彼女の音楽絡みのエピソードを
少しお話いたします!

жжж

1755年11月2日、
父・神聖ローマ皇帝フランツ1世と
母・オーストリア女帝マリア・テレジアの15番目の子として
マリー・アントワネットはウィーンのホーフブルグ宮殿で誕生しました。

後に彼女は、ハープやクラヴサンといった楽器を奏で
音楽をこよなく愛したというお話は
「マリー・アントワネットの小劇場」のところで、すでにご紹介しましたが
この音楽好きの源は
どうやら生まれ育ったウィーン宮廷にあるようです。
彼女の教育は
父親と何名もの専門家たちが請け負ったそうですが
中でも音楽教育には
多くの時間を割いていたといわれています。

1758年10月5日、
母マリア・テレジアの企画した、自身の子供たちによる音楽会の舞台上で
まだ3歳にも満たないマリー・アントワネットは
フランス語の歌曲を披露したという記録があります。
おそらく、これが彼女にとって
初の音楽デビューではないでしょうか。

この音楽会での様子をG・Walterが語るところによれば
マリー・アントワネットは髪をきれいに結い上げ、白粉もしっかりはたき
パニエで広がったスカートのドレスを着て
幼いながらも、立派な貴婦人といった様相で歌を披露したそうです。
ただ、そんなゴージャスなドレスも、まだサイズが少々大きめだったのか
首がドレスの中に埋まってしまっていたとのことで
かわいらしい幼女マリー・アントワネットの微笑ましい姿が
想像できるというものですね!


W・A・モーツァルトの父、レオポルド・モーツァルトは
彼がしたためた手紙の中で
マリー・アントワネットは、偉大なる音楽家たちの演奏を聴きながら
幼少時代を送っていた・・・
という一節を書き残しているそうです。
実際、彼女は当時の大作曲家である
C・W・グルックの生徒だったことは有名ですね。

そしてもっと有名なのが
W・A・モーツァルトから結婚のプロポーズをされたというエピソード!
ただ、これは未だに「事実だ、事実ではない」の議論が健在で
ある日本人の作家さんがお書きになった
マリー・アントワネットの伝記本の中にも
この逸話は事実ではないだろう・・・との見解が載っていました。
まあ、実際のところはさて置き
改めてこのエピソードをご紹介しますと・・・

1762年(1763年という説も)、7歳(または6歳)のモーツァルト少年は
オーストリア女帝からの招待を受け、ウィーンのシェーンブルン宮殿にやって来ました。
宮殿内のサロンを、マリー・アントワネットと彼女の姉の一人と共に歩いていた時
モーツァルトはツルツルに磨かれた床の上で、図らずも滑って転んでしまいました。
マリー・アントワネットは彼を助け起こし
慰めの言葉(「大丈夫?」とか「痛くなかった?」程度の言葉でしょうが)を
かけてあげたといいます。
一緒にいたマリー・アントワネットの姉は
身動き一つせず、その様子を眺めているだけでした。
すると少年モーツァルトは
1歳年上のマリア・アントーニア大公女(マリー・アントワネットのこと)に向かって
「あなたは親切な人だ。私はあなたと結婚したい。」
と言ったというのです。
マリー・アントワネットがこの出来事を母に話すと
女帝はモーツァルトに
何故そのような考えを持ったのか教えて欲しいと言いました。
彼はその返答として
「彼女は私に親切でした。一方、彼女の姉君は
何も気にかけてはくれませんでしたが。」
と言ったといわれています。

このエピソードは、G・N・von・ニッセンが書いた
モーツァルトの伝記本の中に出てくる逸話だそうです。
ニッセンは、モーツァルト未亡人コンスタンツェと再婚した人物で
前述したモーツァルトの父、レオポルド・モーツァルトの手紙によって
このエピソードが事実であることを確認した、ということです。


Franz Xaver Wagenschön画(1769年頃)
「スピネットを弾くマリア・アントーニア」
(ウィーン美術史美術館蔵)






















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10 件のコメント:

  1. ROCOCO2011年2月26日 16:12

     マリー・アントワネットは音楽や踊りが好きだったようですね。
     3歳でフランス語の歌曲を披露するぐらいですから
    頭の良い子だったんでしょうね。
    その時の肖像画があれば見てみたいですね。

     10歳の時にヨーゼフ2世とバイエルン公女マリア・ヨーゼファの結婚を記念して上演されたマリア・テレジアの子供たちの舞台に立つ絵を2枚(マインテス画)見たことがあります。
     1枚はフロリアン・レオポルト・ガスマンの作った朴人風バレエ「愛の勝利」を演じるマリー・アントワネットと皇子フェルディナント、マクシミリアンの絵です。
    (ヴェルサイユ宮殿で見ました)
     もう1枚はウィーンにある「劇を演じるマリア・テレジアの子供たち」でマリー・アントワネットは赤いドレスを着て座っていました。

     モーツァルトの話は宮廷の人達の前での出来事だったので実際に大勢の人が見ているので本当なのではと思ったりします。
    実際はどうなんでしょうね。

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  2. ROCOCOさん、コメントありがとうございます!

    首がドレスに埋もれた2歳児のマリー・アントワネット、
    肖像画で残っていたら、是非見てみたいものですよね!

    マリア・テレジアとフランツ1世の子供たちは
    時々こうして舞台の上で、音楽や演劇、バレエの披露をしたようですね。
    ステキな家族の姿だな~と思います^^

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  3. はじめまして。
    昨年6月に、「マリー・アントワネット曲集」を上梓した
    佐伯真魚と申します。
    http://www.chuoart.co.jp/book/b61645.html
    大変充実したホームページでいらっしゃいますね。
    アントワネット妃に対する思いが伝わってまいります。
    これからも楽しみに伺わせていただきます。

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  4. MAWOさん、コメントどうもありがとうございます!

    「マリー・アントワネット曲集」が昨年出版されたことは存じておりましたが、その著者の方からコメントを頂戴できて大変光栄です。
    失礼ながら、著作はまだ手にとっていないのですが、こちらは楽譜プラス作品解説のような著作になっていらっしゃるのですか?

    私も早くMAWOさんのように、自分の作品を出版できるようになりたいです。

    ブログも、今後も楽しんで頂けるような記事を書いていきたいと思っておりますので、是非またいらして下さい^^

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  5. こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたしますm(ーー)m♡

    *楽譜と、時間軸にそって簡単なアントワネット妃の生涯と、コラム等々
     あとは、ピアノソロのCDも付いております(私の生徒たちが弾いてくれまし  た。)もしも機会があればご高覧いただければ幸いです。

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  6. MAWOさん
    是非購入させて頂きたいと思います!
    日本の家族にお願いして、こちらへ送ってもらうようにします。

    楽しみです^^

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  7. 嗚呼、なんだか押し売りみたいで申し訳ないです・・・
    全然売り切れませんので(^^:)、
    お気の向いたときにでもお手にとっていただければ幸甚です。

    これからも楽しみにしていますので、いろいろ教えてください。

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  8. MAWOさん
    いえいえ、私が欲しいと思ったからですので
    全くお気になさらないで下さいね!
    むしろ、コメントにこの楽譜のリンクを載せて下さって
    どうもありがとうございました^^

    返信削除
  9. Yuko MA Shikaba2019年1月30日 1:33

    Kayo様

    記事とても嬉しい気持ちで読ませていただきました。ありがとうございます。

    私の知る限りでは、モーツァルトには、お猿さんのような落ち着きのない少年という印象があったようで、実際にはタイプではなかったようです。その頃アントワネットの好きな男性は、一番上のお兄様ヨーゼフ2世でしたので、楽しいお友達という感覚でしか見ていません。兄のフェルディナントはモーツァルトの音楽を気に入っていたそうですが、母のテレジアは、モーツァルトの父親の素行なども含めて、次第にあまり良くは思わなくなったようで、兄フェルディナントのモーツァルト起用の提案を母は断ったそうです。

    グルック先生は、大変思いやりのある先生で、アントワネットはとても大好きでした。信頼していました。音楽以外でも、心を支えてくれる話し相手になってくれる場面がありました。末っ子三兄弟のフェルディナント、アントワネット、マックスは、音楽が好きで共にレッスンを受けていました。兄フェルディナントは真面目で、譜読みなどもきちんとするタイプ、アントワネットは予習や宿題は、まあまあで、その場で上手にこなす感じでした。

    アントワネットは作曲もしましたが、いずれもグルック先生の影響を受けた作品たちで、グルック先生っぽい作品です。

    モーツァルトが亡くなる直前に書いた作品 魔笛 に出てくる夜の女王 これはマリアテレジア、その敵はフリーメイソンがモデルと言われています。秘密であるフリーメイソンの実態を作品にして、フリーメイソンから暗殺されたと言われています。とは言え、、、マリアテレジアは、早起きで、夜は早く寝るため、夜の女王というより、日中の女王でしょうと思ってしまいます。

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  10. Yuko MA Shikaba 様

    こちらにもたくさんの情報を載せて下さってありがとうございます!
    確かに、マリア・テレジアは「夜の女王」っていうイメージではないですね!あの潔癖さからいっても、「夜」とか「闇」というのは、真逆な感じがします^^

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