ブルトゥイユ城というお城を見学して来ました。
このお城そのものとマリー・アントワネットは
直接何の関係も無いのですが
城の主であるブルトゥイユ家は
17世紀、18世紀の間、フランスの国王に仕えた家柄で
中でも、ルイ・シャルル・オーギュスト・ル・トヌリエ・ド・ブルトゥイユという人物は
マリー・アントワネットの夫、ルイ16世の傍らで国務大臣を勤めた人です。
一般的には『ブルトゥイユ男爵』と呼ばれています。
ブルトゥイユ城 |
ブルトゥイユ男爵は、1783年にルイ16世の大臣になる以前は
外交官として活躍しており
スウェーデン、オーストリア、ナポリなどの国を転々としていました。
オーストリアのウィーンでフランス大使をしていた1780年
その職を、ルイ・ルネ・エドワール・ド・ローアン枢機卿に
渡さねばならなくなります。
この『人事異動』は、ブルトゥイユ男爵にとって喜ばしいものではなかったそうで
自分の代わりにウィーンへ旅立ったローアン枢機卿に対し
敵対心を抱いたようです。
まあでも、3年後には国王の顧問にあたる地位を得たわけで
さぞやその時にはホクホクだったことでしょう^^
そしてもっとホクホクになってしまうのが
1785年8月15日!
予てから気に喰わんと思っていたライバルのローアン枢機卿を
国王の命に従って、その手で逮捕する役目を担ったのです!
これはあの有名な『王妃の首飾り事件』の
幕開けの出来事のようなものなんですが
ブルトゥイユ男爵と同じか、それ以上にローアンを忌み嫌っていた
王妃マリー・アントワネットが
そのローアンから、とあるネックレス絡みで侮辱を受けたということで
夫の国王にローアンの逮捕を懇願したんですね。
で、国王が逮捕状にサインをし
ブルトゥイユ男爵が捕まえた、というわけです。
ベルばらでは、ブルトゥイユ男爵ではなく
オスカルがローアンを逮捕してましたね、確か^^
ブルトゥイユ城内には、蝋人形が何体も展示され
歴史のワン・シーンをリアルに再現しているのですが
↓これは、そのローアン枢機卿の逮捕状に
国王ルイ16世がサインをしているシーンを再現したものだそうです。
写真には入りませんでしたが
本当はもうちょっと左の方に
「自分、逮捕されちゃうんかなぁ・・・」
みたいな表情の、ローアン枢機卿の蝋人形も立っています・・・。
左から王妃マリー・アントワネット、ルイ16世、ブルトゥイユ男爵 |
パリのグレヴァン蝋人形美術館で展示されている蝋人形と
同じ製作所で作られた蝋人形なんだそうですが
ブルトゥイユ男爵は、肖像画と似てるかも~と思いましたが
マリー・アントワネットとルイ16世は
ちょっとイメージと違うような印象でした。
因みにブルトゥイユ男爵の肖像画はこちら↓
フランソワ・ギヨーム・メナジョ画(18世紀) 「ルイ・オーギュスト・ル・トヌリエ・ド・ブルトゥイユ」 (ルーブル美術館蔵) |
また、この蝋人形が展示されている部屋には
当時、王妃からブルトゥイユ男爵に進呈されたという、
ヴィジェ・ルブラン夫人が描いた王妃の肖像画も
合わせて展示されていました。
そして別の部屋には
『王妃の首飾り事件』で問題となった首飾りのレプリカ、
1790年にルイ16世から亡命中のブルトゥイユ男爵宛に書かれた手紙も
展示されています。
『王妃の首飾り事件』で問題となった首飾りの複製 |
ルイ16世がブルトゥイユ男爵へ宛てた、直筆の手紙 |
ところでブルトゥイユ城ですが
公共交通手段で個人的に行こうという場合には
注意が必要です!!
というのも、お城自体は年中無休なのですが
最寄り駅のサン・レミ・レ・シュヴルーズ駅(RERのB線)から
お城まで行くバスが
日曜・祝日(5月から10月の間のみ)しか出ていないのです。
私はかれこれ8年前に、そんなことは露知らず
平日の午後、サン・レミ・レ・シュヴルーズ駅まで来ていながら
ブルトゥイユ城まで行く手段が見つからず
泣く泣く引き返して来たという悲しい経験があります・・・(ToT)
あ、タクシーすら駅前に停まっていませんので。。。
ブルトゥイユ城にあるヴィジェ・ルブラン夫人が描いた王妃の肖像画は白いフープドレスの上半身の絵でしょうか?
返信削除この絵だったら展覧会で見たことがありますが、目がちょっときついように思ったのは私だけでしょうか?
斜め前の方に視線があるのでそう見えました。
観る人の方を向いていたら表情も柔らかだったのではないかと思いました。
ROCOCOさん
返信削除そうです。白い正装用ドレスを着たマリー・アントワネットの、上半身のみの絵です。楕円形の額縁に収められて飾ってありました。
よくよく見ると、ここにある蝋人形の王妃は、この絵で着用しているドレスを再現して着ているようです。ただ、実際のドレスの色は、こんなに真っ白ではないような気がしますが・・・。
確かにちょっときつい目をしているかもしれないですね!
ヴェルサイユ宮殿の王妃の居殿内「大会食の間」の中央に飾ってある王妃の絵と、1779年2月にマリア・テレジアへ贈呈され、現在ウィーンの美術史美術館に展示されている王妃の絵(共にヴィジェ・ルブラン画)が、このブルトゥイユ城に飾ってある絵と、まったく同じポーズのものだと思うのですが、この3点、いずれもちょっと冷ややかな印象が無くもないです。
ヴェルサイユ宮殿の大会食の間に飾ってある白いフープドレスの絵(斜め前を見ている)ではなく、観客側を見ている肖像画を展覧会で見たことがあります。
返信削除こちらは表情が柔らかく思いました。
同じくヴェルサイユ宮殿にあるようですがどこに飾ってあるんでしょうね。
ROCOCOさん
返信削除その正面を向いてる肖像画は、おそらくルブラン夫人と国王の肖像画工房の共同制作と言われる作品で、首から下はきつい表情の肖像画と同じドレス、同じポーズなものの、顔だけがこちら側を向いてる絵のことかな?と思うのですが、いかがですか~?
もしその絵でしたら、おっしゃる通り、こちらの王妃の表情は、ほんのり笑みを浮かべているような柔らかい表情ですね。
そして、その絵はヴェルサイユ宮殿が所蔵しているのは間違いないのですが、私も、宮殿のどこの部屋に飾ってあるかまでは、残念ながらちょっとわからないです・・・。でも、いわゆる一般見学で公開している主要部分の部屋(『王妃の居殿』など)ではないと思います。内殿で見た記憶もないです・・・。
そのうちわかりましたら、ご報告しますね!