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今日は、マリー・アントワネットにまつわるエピソードの一つ
『パンがなければお菓子を食べたらいい』発言について
ちょっとお話いたします。
18世紀末当時のフランス国民は、農村部を筆頭に
明日のパンの心配をしなければならないほど、日々の生活が苦しくなっていました。
「国民にはパンが無い」という窮状を家臣から聞いた王妃マリー・アントワネットが
『パンがなければお菓子を食べたらいいのに!』と発言をした・・・
と、昔から言われています。
しかし、実はこれは、マリー・アントワネットが発した言葉ではなく、
ルイ15世の娘であるマリー・アデライード、もしくはビクトワールが言ったとか
元々、ジャン・ジャック・ルソーが、とある大公婦人がそう言ったのを聞いたのが
事の始まりだとか
その後、いろいろな説が出てきました。
私がフランス語の文献で見た中では
マリー・アデライード説が多かったように思いますが
実際は、どうなのでしょうねぇ・・・。
フランス語の原文は
"Qu'ils mangent de la brioche !"で、*感嘆文なんですね。
あえて『直訳』すると
「彼らはブリオッシュを食べます!」
と、感嘆しながら(感嘆文なので)言う感じでしょうか。
因みに、ブリオッシュはお菓子に匹敵するパンなので、日本語では「お菓子」と訳されているようです。
そもそも、マリー・アントワネットが言ったとされる説の背景には
彼女はフランス王妃でありながら
フランス国民がどれほど貧しい生活を送っているかという現状を、全く把握しておらず
率直に
「へ?パンが無いのなら、
代わりにブリオッシュを食べればいいだけの話じゃなくて??(°_°)?」
と、要は天然ボケ風(?)に言ったことで
いかに彼女と国民の間に距離があったかを示すエピソードとして
これまで語られてきたわけなんですね。
しかしこの言葉は、感嘆文であるが故に
違った風に解釈することもできるんです。
むしろもっと、意地悪な感じで、
「あら、そんなの、パンが無いのでしたら、
ブリオッシュでも食べてたらいいじゃないの!ホーッホッホ(`∀´)」
といった具合の、ちょっと小バカにした感じにも
受け取ることができるんです。
だいたいブリオッシュというのは
普通のパンよりも高級なパンですから
パンが無いと訴えるくらいなら
無論、ブリオッシュなど食べられるわけがないのは
明らかだったわけですしね。
ルイ15世の娘で、マリー・アントワネットの義理の叔母にあたる
マリー・アデライードは
大変勝気で意地の悪い女性だったといわれてますし
そもそも当時の貴族、特に宮廷へ伺候するような身分の貴族というのは
往々にして、平民を見下していたところがあるので
せせら笑いながらこんなことを言うマダムなんて
きっと、そこらじゅうにいたと思います。
誰かが「国民にはパンがないのです」と言ったのを受けて
"Qu'ils mangent de la brioche !"
と、ある貴婦人が言うのを想像した場合
私個人としては、この言葉は
天然ボケ風ではなく
小バカにしたように聞こえます(笑)
共和国になって久しい今の時代でも
フランスは、時に、見えない身分の上下関係を意識させられるような場面に
出くわすことがありますし
フランス人って、結構嫌味っぽいことすぐ言ってきますからね!
なので私は、マリー・アデライード、
もしくは、とある大公婦人が言った説に、一票ですっ!(笑)
* 後に、読者の方からのご指摘で、感嘆文以外に、接続法命令形の可能性もあることがわかりました。詳しくはコチラをご覧下さい→http://ma-ashiato.blogspot.com/2011/01/blog-post_29.html
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